【棋書感想】矢内理絵子の振り飛車破り
矢内理絵子の振り飛車破り
「矢内理絵子の振り飛車破り」を読んだ感想を書いていきます。
対四間飛車に対して、端玉銀冠と4五歩早仕掛けについて解説している棋書です。
- タイトル:矢内理絵子の振り飛車破り
- 著者と出版社:矢内理絵子 毎日コミュニケーションズ
- 出版年:2009年2月
読んでみての感想
対四間飛車に対して、端玉銀冠からの基本的な仕掛け方や、4六銀型からの攻防などが解説されています。端玉銀冠の解説本はレアなので特にこの部分について印象的でした。
基本的な仕掛け
ノーマルな振り飛車相手には端玉銀冠をやるので、図1のような局面は私の実戦でよく現れます。本書ではこのような局面から以下
▲3七桂△5二銀▲2四歩△同歩▲4四歩△8五歩
で居飛車不満だそう。
角交換したら△6四角が痛いですし、▲2四飛走った時に、△8六歩~△4二角をくらいますね。
ただ、私は実戦で△5二銀引かれたことがあんまりないのです。強い方でないと浮かびづらい手なのでしょうか。
本書では、▲1六歩と▲7七角をいれてから、▲4五歩と同じにように仕掛けるのを推奨してました。▲7七角のほうが角交換が先手にならないのと、8筋を守っているのが良いということでしょうかね。▲7七角をいれてからの仕掛けなら図2のような不満はないそうで。
4六銀型
図2のような4六に銀を配置する形も解説されてます。
これも私の実戦でよくある局面なのですが、私がこれをやると、△3二飛~△4二角とされて、銀が3五あたりで遊んでる間に、8筋攻められてひどい目にあわされるので、やらなくなってしまったのですよね。
本書では▲3五歩ではなく、▲7七角から▲3七桂として、さらに固める順が紹介されてました。
この棋書の良かったところ
端玉銀冠の仕掛け周りを解説してくれている
図1からの▲3五歩や▲3七桂などといった仕掛け、また仕掛ける前に▲7七角とあがっておくなどの手順がとても参考になりました。
端玉銀冠の解説書そのものが珍しい
他ではあまり見かけた覚えがないです。右四間と併用した形の解説をかろうじて見たくらいでしょうか。
端玉銀冠はあまりプロ棋戦では見かけません。いつかの銀河戦の久保ー島本戦で見た気がするのと、あとはたまに出るくらいでしょうか。
個人的には端玉銀冠は
- 角道通したまま固く囲えて、いざってときに角のラインに入っていないのが心強い
- こちらから角交換したときに浮き駒がない(9九の香も玉で紐がついている)
- 銀冠が端に強いので、振り飛車の端攻めは割と何とかなる
- 私は居飛車穴熊が苦手
という理由で気にいってまして、対振りはこれを使うことが一番多いです。
端玉銀冠の解説をしてくれている棋書はほとんどないので、そういった意味でもとても良い棋書だと思いました。